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休むことと息抜きは一緒じゃない──遊びに疲れてしまう人のためのバランス論

■ 遊んだのに疲れるのはなぜか

新年が明けてしばらく経ち、ようやく日常のリズムが戻った感じがありますが、身体は常に休みを求めています。

先週は三連休でしたので「しっかり休んで遊ぶぞ」と思っていたのですが、いざ休みが明けてみると十分に休んだ気がしない。なんというか身体が重く横になってへばっていたいという気持ちが続いています。なんでこんなに疲れているんだろうと考えたら、三連休の中日の深夜にいきなり「ちょっとドライブ行こう!」となり、静岡方面に片道3時間かけて走ってサービスエリアで早朝にご飯を食べて、そのまま家に帰るという遊びをしたからかもしれません。

深夜のドライブは流れていくヘッドライトやフェンスの切れ目に現れる街の光などを見るのが好きなのですが、まぁ、「ちょっとドライブに行く」といって往復6時間をあまり休憩もとらずに走るものでもないなぁと思いました。このあたりは私のADHDの特性からくる「楽しさへの依存」のようなものも関係しているのかもしれません。

■ 息抜きとは何だろうか

よく「遊ぶことは息抜きになる」とは言いますが「遊んだはずなのになぜか疲れている」という経験は誰もがしていると思います。また、「適度な息抜き」と言われてもそもそも息抜きとは何かがよく分からないという方も多いはずです。

自分も発達障がいのある人と「休み方が分からない」という話をよくするのですが、書店に行くと「いい休日の過ごし方」「疲れない遊び方」といった本がたくさん並んでいるので、これはもうメンタルに問題を抱えていたり、発達障がいのある人だけが抱える問題ではないのでしょうね。(ちなみに仕事をしている方が心身ともに休まるという変人の知り合いもいますが、ここでは例外扱いとします。真似をしてはいけません)

中には「遊べない・遊んでも息抜きにならないのは自分の障がいが悪いからだ…」と自分を責めてしまうケースもあります。障がいがあると「自分だけが苦しいのでは」と思いがちですが、世間に目を向けると普通の人でも悩んでいてヒントになる情報がたくさんあることもあります。まずは自分に合いそうなものを試してみるのも一つの方法でしょう。

■ 6割で遊ぶという発想

フリーランス時代は無理に遊んでも回復する時間がとれたのですが、サラリーマンに戻ると、同じようにはいきません。

そこで、私が最近意識しているのは「6割くらいの出力で遊ぶ」ということです。なんか疲れているけど少し動きたいな、というときは公園を一周するとか、図書館で本を探すとか、それくらいのことでも「息抜きの遊び」にはなります。なにも金や体力を使う事だけが遊びでもないのですね。

たゆらかたうんでも、お金を使わずにフラッと行くことができる遊びスポットや居場所を紹介しているので、東京に在住の方はぜひこちらも読んでみてください。

私たちの周りにあるさまざまな居場所

ひとりでもみんなでも、選べる居場所のご紹介

余暇という言葉には「余裕のある時間」という意味があります。つまり、余裕がないなら無理に遊ばなくてもいいし、遊ぶときも余裕を残しておくことが大切なのだと思います。なので、深夜に思いついて6時間走るようなことはしない方がいいのです。やっていましたけど。

また、発達特性がある場合、「遊べ」と言われると「遊ばなきゃ」と義務のように感じてしまうことがあります。すると、遊ぶこと自体が目的になり、かえって疲れてしまうという相談も受けた事があります。遊ぶのは生活の質を上げるためのものなのに、それを義務化して疲れてしまっては逆効果です。もちろん、疲れるまで遊びたいときもありますし、そういうときは大いに疲れるべきですが、「息抜きのための遊び」で息苦しくなってはいけない、ということですね。

また、発達障がいのある方の周囲の人が「疲れているなら遊べば?」と言うこともありますが、その一言がプレッシャーになる人もいます。遊びは人によって負荷が違うということを周りも少し考えてくれると、それだけで助かる人もいるかもしれません。もし、遊んでみれば、という言葉がプレッシャーに感じるようなら、それを周りの人に伝えても良いかと思います。

■ そもそも遊べない人もいる

ただ、そもそも、遊ぶ以前に体力がない、外に出るのが難しい、平日昼間に行ける場所がないという人も多くいます。そういう方はまず近くの図書館やちょっと雰囲気が良さそうなカフェなど「ちょっとしたお出かけ先」を探してみてもいいかもしれません。探してみると平日昼間でも受け入れてくれるところも見つかるかもしれません。

江戸川区の瑞江には、ひきこもり状態の方や、外出に不安がある方でも、ふらっと立ち寄れる「江戸川区駄菓子屋居場所 よりみち屋」という居場所があります。ちょっとしたイベントやボードゲーム会も定期的に開催されているので「ちょっと寄ってみる」くらいの気軽さで寄ってみるのもいかがでしょうか。NPO法人「しろひげ・たゆらかファンド」でも定期的に居場所作りのイベントも行っているので、ときどきイベント情報を確かめておくといいかもしれません。

■ 遊びと休息はまったく別物

最後になりますが、遊ぶことと休むことは、似ているようでまったく別物です。遊びは刺激を受ける行為であり、休息は刺激を減らす行為ですから、この2つが自然に一致するとは限りません。むしろ、遊んだ後に休息が必要になることのほうが多いでしょう。

大切なのは、自分の体とこころの状態を丁寧に観察し、「今は遊ぶべきか、休むべきか」 を判断することです。

私自身、ドライブは好きですが、片道3時間はやりすぎだと最近ようやく気づきました。せめて1時間半くらいにしておきたいところです。……まあ、そういう問題ではない気もしますが。サバイバル以前にサバイバルしなくてはならない状況を自分で作っていますねぇ…。

さて、今週ももう折り返しです。今週の土日こそしっかり遊んでしっかり休んで月曜日を元気に迎えたいところです。では、また来週。

きむら

きむら

聴覚障がいとADHDの特性を持つしろひげ在宅診療所スタッフ。山形県出身。ASDと軽度知的障がいのある妻と江戸川区で二人暮らし。ろう学校を卒業したあとさまざまな職を転々しつつ独自のADHDライフハックを研究している。くらげというペンネームでライター活動などを行っており著書に「ボクの彼女は発達障害」がある。

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