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ひきこもり経験者に聞く 就活漂流体験記

福田さん
長く働いていた会社を腰痛で退職し約15年間仕事をしない生活へ。「みんなの就労センター」のスタッフと二人三脚で仕事を探し、株式会社ホワイトビアードへ就職。


-まずは、ホワイトビアードに入るまでの経緯を教えてください。

もともと長くいた会社をヘルニアで辞めて、次の仕事もヘルニアでダメで…。気づいたら15年ほど仕事をしていない期間がありました。2回も同じ理由で退職したし、仕事で活かせる資格も持っていないので次の仕事に繋がらないと思っていました。やりたい仕事に応募したとき「腰を痛めている人は雇えない」とすっぱり言われたのもショックでしたね。プログラミングの職業訓練や介護の学校、体験入社もしたんですけど、体がもたなかった。ただただ、人生を捨ててぼーっとしていた感じですね。


-そこから、現在働かれているホワイトビアードへ?

江戸川区から来たアンケートに答えたら、ひきこもりの支援センターの方から連絡を頂き、みんなの就労センターを紹介してもらいました。単発の仕事を紹介してもらい、江戸川球場の清掃をしたとき「あ、まだ結構動けるんだ、大丈夫なんだ」と思うことができて、仕事につながりました。


-再就職までもいろいろな経験をされたのですね。改めて仕事をして気づいたことはありますか?

良かったことは、体調管理ができるようなったことですね。仕事を休まないように体調を意識して生活しています。あとは、仕事を再開して、自分があるという感じです。
15年の空白の時間は、自分が自分じゃなかったというか…。今は仕事後に帰りながらビールを飲むのも、体の疲れや腰の痛みも「生きている」って感じられます。


-仕事をしていない時期があるからこそ実感できることですよね。そう感じられる仕事と出会えてなによりです。

やっぱり一歩目ですね、なんでも。背中を押してもらうんじゃなくて一歩を自分で踏み出さないと、そのあともやらされている感が出ちゃう。自分の場合は、今思うと球場の仕事で「まだ動ける」と思えたのが一歩を踏み出すきっかけになりました。あれが無かったからまだ家で過ごしていたかもしれないです。
球場の仕事もホワイトビアードも紹介してくれた就労センターの方には感謝しています。


-精神障がいや発達障がいがある方は長く働くことが課題になりやすいそうです。福田さんはもともと長く働かれていたそうですが、長く働くために大切なことは?

なんでしょう。最近は無いですけど、もちろん辞めたくなることもありました。寒い日ってコーヒーを飲むとホッとするじゃないですか。そんな感じで、仕事でもコーヒーみたくホッとできる温かいことを見つけるか、常に理想の自分を立てるとかですかね。今の自分を客観的に観察して、理想の自分に近づけようとすると、モチベーションになります。


-よく3年間は働くようにと言われますが、3年間同じ職場で働いて良かったと思いますか?

うーん、糧になっているから良かったんじゃないかな。まあ、人生はなるようにしかならないし、思ったほど辛くないって感じですね。ただ、私の場合は社会人経験も長いのでそう思いますけど、そうじゃない方は別の悩みもあるかと。なんだったら僕が話聞くから来ていいですよって感じですね(笑)。

株式会社ホワイトビアード
医療、介護、障がいなどのサービスを利用している方々やそのご家族が、日常を今よりもっと“自由に”過ごせるようなサービスを提供したいという思いで設立。ひきこもり支援推進事業である居場所の運営などを行う。

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