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【発達障がい奮闘記】きむらはいつもサバイバル:遊びに向かう足取りが社会に春を連れてくる

はじめまして。ADHDと聴覚障害があるしろひげ在宅診療所スタッフのきむらと申します。この度、このコーナーでのコラムを担当させて頂くことになりました。よろしくお願いいたします。

この前の話ですが、知人と話をしていたら「きむらさんはあまり遊ぶのがうまくないですよね」と言われました。「いやぁ、ドライブとかにはいきますよ」と言ったのですが、実際のところ、「遊ぶ」というのは得意ではない、という自覚はあります。

昔はそうでもなかった気がするのですが、特にコロナ禍のあとはあまりイベントにも行かなくなったし、博物館や美術館に行く機会も減ったし、休日も平日の疲れを取るために寝ていて起きたら昼過ぎだし、本もマンガもなんとなくつまらない。映画やアニメは動画配信サービスに入っているけど熱中するほどでもない・・・、という体たらくで「遊ぶってなんだっけ・・・?」となっております。正直、遊ぶよりも何か作業を無限にしていた方が楽、という過労死に向かって全力でダッシュする性格なのかもしれません。

社会的にも、以前よりワークライフバランスが意識されるようになって心身をリラックスさせるとか、社会との関わりを深めるとか、そういう「効果」が再発見されて「大人が遊ぶ」ことの大事さも社会的な話題になってきたように思います。

まぁ、それ自体はとても良いことですが、人間の悲しさなのか次は「遊ぶ効用」を求めて色々疲れてしまう人もいる状態で「遊ぶ」ってなんだろうなぁ、と思わなくもないのです。そう考えると「大人が遊ぶ」って意外と自然にできる事ではなくて、「遊ぶのが得意ですか」と言われ「得意」といえる人は案外少ないのかもしれません。

一方で、「遊びたいけど遊べない」という環境に多いのが障がいのある方々です。私も人混みがどうにも苦手で、特に電車を使うとそれだけで疲弊してしまいますし、人工内耳をずっとつけて様々な情報を聞き分けるために神経を張り詰める必要もある。昔はそれでもなんとかなりましたけど、最近はもう歳なのか遊んで帰った後はへばってしまって平日がしんどい・・・みたいなことが多く、遊びに行くのに躊躇してしまうことがあります。そうなるとドライブに行くのが一番疲れず気晴らしになるのでドライブばかりやっているわけですね。

これはもう私の特性ですが、精神的な回復とか社会の繋がりの回復とかの意味では障がいのある人の方が「遊び」が大事になってくる気がします。しかし、なんかネットを見ると「障がいがある人が遊ぶのを見てイライラした」、「障がいがある人は遊ばずに家にこもっていけ」とか、心無い言葉が飛び交ったりもしている。ただでさえ外に行くのが大変なのにこういう陰口を言われるんじゃないかと思うと外に出て遊ぶことに対して委縮しちゃうのも当たり前で、同時に大問題だなぁ、と思っています。

障がいがあっても人間ですから、遊びたいとか外に出たいという気持ちは普通に持つので、障がいを理由に「遊ぶな」という権利なんて誰にもないのです。むしろ、ただでさえ社会から孤立しがちなので、誰かが無理のない範囲で遊びに引っ張っていくくらいでいいんじゃないかと思います。

しかしまぁ、実際外に出てみると、特に都会はさっと休むところがないとか、音がうるさすぎるとか刺激が多すぎるとか、歩く距離が長いうえにバリアフリーではないとか、そういうトラブルの種がたくさんあります。これもまぁ外に出るということが「健康な人」でないと厳しい、ということの1つであると思うのですよね。

この問題には今すぐ何か解決する方法があるわけではないですが、この前、新聞を読んでいたら全盲の方が「自分が外出することが障がい者の外出を当たり前にしていく」と言っていて「なるほどな」と感心しました。となると、私自身が外出して遊んで、それを社会にフィードバックすることも1つの社会参加になりそうなので少しは作業の手を止めて外に出ていきたいなぁ、と思いました。

などと考えながら顔を上げたらいつの間にか梅の花が咲いていました。厳しい冬の季節も移り変わり、誰にでも暖かい春が訪れます。そして、遊ぶことに苦労がない「春」の世の中になってほしいなぁ、と淡く考えるのでした。

きむら

きむら

聴覚障がいとADHDの特性を持つしろひげ在宅診療所スタッフ。山形県出身。ASDと軽度知的障がいのある妻と江戸川区で二人暮らし。ろう学校を卒業したあとさまざまな職を転々しつつ独自のADHDライフハックを研究している。くらげというペンネームでライター活動などを行っており著書に「ボクの彼女は発達障害」がある。

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