たゆらかママライター出動 !!
江戸川区教育委員会 蓮沼教育長と江戸川区立松江第五中学校 荒巻校長へインタビューをしてきました。
どんな形でも居場所が大事
部活でも、行事でも、どんなきっかけでも まずはどこかと繋がってほしいんです!
この夏、不登校の子と一緒に林間学校に行って来ました。参加している子どもたちはきちんとあいさつもできるし、ぱっと見ただけでは学校に行けていないとは分からない子どもたちばかりでした。会話の中で学校に行けない理由を聞いてみると「友達のことで」「勉強に付いていけなくて」とか、それぞれに行けない理由が当然あります。
でも、林間学校には楽しく参加できている。改めて、まずどんな形でも居場所を作ることが大事なんだと感じましたね。
例えば部活や学校行事、学校に行けなければどんな場所でも良い。一歩踏み出すのはすごく勇気のいること。だからこそ少しでも参加できたらきちんと褒めて、認めて欲しいと先生たちへ伝えています。
どこにも繋がりのない子どもをつくらないため
江戸川区ではどこにも繋がりのない子どもをつくらないために、教育研究所を中心に不登校の子どもたち、そして不登校の子どもの保護者の方に向けてさまざまな支援をしています。私も江戸川区の教育長になる前は、中学校の教育現場に10年ほどいたこともあり、多くの不登校の生徒に関わってきました。不登校の子どもには、その子に合った居場所を作ること、優しくそっと背中を押してあげることが大事です。
学びの場の多様化
不登校の子どもたちには学習保障の面でも、つまずきを克服して基礎学力を身に付けるサポートをしたいと思っています。そのためには、さまざまな学びの場の提供や、学習方法の多様化が重要です。今年度から試行している「学びのユニバーサルデザイン」や「バーチャルえどがわサポートルーム」も学びの多様化に向けた取り組みの一つです。
子どもたちの個性や良いところに合わせて教育方法も変えていくべきだと思っています。子ども一人ひとりの良さを教員も含め、周りの大人が引き出してあげることが大事ですね。
社会全体でももっと教育に対して気にかけて、成長する取り組みをして欲しいとも思います。江戸川区としてできる支援をどんどん増やしていきたいものです。
自分の個性を活かしながら、前向きに行動する生徒の育成に力を入れたいと思っているんです。
成長させてくれる場所に向けて
学校では、週に一回、担任、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、養護教諭、学年主任、管理職などで情報共有をしながら支援会議を行っています。どこに繋げるのが適切か話し合った上で、担任が保護者と連絡を取り合っているんです。
学校に行けない本人や保護者に寄り添い、悩みを聞き、安心して過ごすことができる居場所を作ることが大切だと思います。
一人ひとりを成長させてくれる何かを見つけてくれるような場所が欲しいと思っていて。学校に行っていなくても別の場所で自分のよさに気付いたり、こんな事やってみたいと思えるきっかけを作れる場所があるといいですね。
独自の取り組み 頑張りを申告 「たちばなマインド」
松江五中では、互いのよさを認め合い誰もが輝ける学校を目指して「たちばなマインド」という独自の取り組みを推進しています。自分の個性を活かしながら、前向きに行動する生徒の育成に力を入れたいと思っているんです。
生徒には入学時に「たちばなマインド証」が発行されます。どんな小さなことでも、前向きに頑張れたことを実績報告用紙に記入して報告すると、たちばなマインド証の裏面にスタンプが押されて、私のコメントとともに担任の先生から本人に返却されるという流れですね。
学校に行けない生徒も、学校以外での頑張りを申告することができ、頑張りを認めてあげることで本人の自信にも繋がる。スタンプの数が増えるとカードがランクアップして、卒業式予行で表彰されたり、卒業後も名前が校長室の掲示板に刻まれたり、頑張ったらそれだけ頑張りが目に見えるので生徒のモチベーションも高まると思います。
江戸川区の教育現場としての新しい取り組み「 学びのユニバーサルデザイン」とは?
江戸川区教育委員会事務局 教育研究所 百々所長に伺いました。
「学びのユニバーサルデザイン」とは、アメリカのCASTという機関が提唱した学習者が主体的に学ぶことができるようにするための理論的な枠組みのことです。
わかりやすくいうと、子ども一人ひとりの得意な学び方に合わせて、その子自身がもっている力を発揮できるように分析してアプローチする教育方法です。
例えば、一つのことを教えるときに、「読んで学ぶのが得意な子」「見て学ぶのが得意な子」「友達と相談して勉強す
るのが得意な子」などその子の得意な学び方に合わせて多様な学び方を選択できるようにするということです。
学級にはさまざまな困難を抱えた子どもがいます。「困難」は一人ひとり違います。授業の中でのつまずきを予想るには、実態の把握(アセスメント)が何より重要です。子どもの「困難なこと」のみを観点にして情報を集めるのではなく、長所や得意なことも把握することが大切です。
江戸川区ではこの「学びのユニバーサルデザイン」を今年度から試験的に導入しています。まだテスト段階ではありますが、子どもたちが自分のもっている力を発揮して充実した学校生活を過ごせるために取り組んでまいります。
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