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ほんのイチオシ vol.4 居場所がないと感じるとき

司書さんが選ぶ「ほんのイチオシ」
第4回目は、居場所がないと感じるときをテーマに2冊紹介していただきました。

ハリネズミ乙女、はじめての恋

『ハリネズミ乙女、はじめての恋』
KADOKAWA/角川文庫
令丈ヒロ子

 「こころの居場所」とは、自分が安心でき、ありのままの気持ちでいられる場所やつながりのことを指します。安心できず、誰からも必要とされない場所に居続けることは辛いからこそ、人は安心できるこころの拠り所を求めるのでしょう。

本書は、そんな「居場所」のない少女の物語です。芸人一家に生まれたコトカは、環境になじめず、家族の中で孤立していました。そんな彼女が居場所を求めて上京し、訪れたペットショップで、しゃべる白いハリネズミと運命的な出会いを果たします。

白ハリくんや、出会った人たち、思ってくれる人の優しさに触れることで、トゲトゲしていた彼女のこころが次第に丸く変わっていく様子は、まさに「こころの居場所」を見つけたからのように思います。

本の世界に救われた経験のある人は、きっと少なくありません。この物語も、そんな人々のこころにそっと寄り添ってくれる一冊です。

■POINT
#トゲトゲしたこころが丸くなる

ダリウスは今日も生きづらい


『ダリウスは今日も生きづらい』

集英社
アディーブ・コラーム(著)
三辺律子(訳)

ダリウスは学校でも家でも、人間関係で辛い思いをします。アメリカで自分が少数派であることも関係しています。一方でお茶が好きで、お茶の葉を売る店でアルバイトをしています。お茶を飲む時間は、ほっとするのです。

ダリウスは祖父の病気がきっかけで、春休みに家族で祖父母の住むヤズドに行き、一緒に暮らすことになりました。祖父母がダリウスに優しく、家族みんなで過ごす時間がとても素敵な時間になりました。

ヤズドに来て、ダリウスには心から信頼できる友達ができました。一緒にサッカーをしたり、屋根に上って街並みを眺めたり…でも…。

辛いことが起こりますが、ダリウスのせいではないこともあります。
辛さから回復するために、そっとそばにいたり、言葉をかけたりしてくれる人もいます。

家族の歴史やルーツに思いをはせることもあります。人との温かな気持ちのやり取りが、幸せな居場所を形づくっていくのかもしれません。

■ POINT
#辛さ #幸せ #居場所 #お茶が好き

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