「家族や職場の人間関係でついイライラしてしまう」
「相手を尊重したいのに、どうしても心の余裕が持てない…」
そんなコミュニケーションの悩みを抱えている人は多いでしょう。
毎日を忙しく過ごす中で、相手も自分も大切にしながら心地よくつながるにはどうすればいいのでしょうか。
今回は、そんな切実な悩みの解決方法を心理士の田中庸介さんにお聞きしました。
最近耳にする機会が増えた「ウェルビーイング」という考え方をヒントに学校、福祉現場、そしてご家庭で今日から実践できるお互いが安心できる関わり方のコツを学んで行きましょう。
私たちは毎日、家族や友人、学校や職場の仲間など、たくさんの人と関わりながら生きています。
うれしい気持ちのときも、忙しさで余裕がないときもありますよね。
そんな日々の中で大切になるのが、人と心地良くつながるための「ウェルビーイングなコミュニケーション」です。これは、誰かと話すときに“お互いが安心していられるように関わること”を意味します。
共感とは、「相手の気持ちを分かろうとすることであり、感じ取った気持ちを一緒に共有する」こと。相手が何を見て、何を思い、どんな気持ちでいるのか、どんな景色の中でその言葉が生まれたのかを、そっと想像してみることです。全部分かる必要はありません。
ただ、「この人にはこんな背景があるのかもしれない」と想像するだけで、相手は安心し、穏やかな関係が生まれていきます。
その中心にあるのが、共感という姿勢です。
また、相手を尊重する気持ちも欠かせません。相手との意見の食い違いは互いの背景や今の状況が異なるため、とても自然に起きることですが、まずは「そう感じているんだね」と受け止めることから尊重が生まれていきます。
そのひとことが、学校の子どもたちにも、福祉の現場の利用者さんにも、そして身近な家族にも、大きな安心を届けてくれます。
さらに、ウェルビーイングなコミュニケーションでは、相手の強みや良いところに意識を向けることを大切にします。小さな努力や頑張りに目を向けて声にして伝えるだけで、人の表情はふっと明るくなりますよね。
相手が持つポジティブを見つけて贈ることは、相手の心にそっと灯りをともすような、とても心地良く力強いものです。
そして忘れてはいけないのが、自分自身のこころの余裕です。あなたのこころが疲れていたり、急いでいたりすると、どれだけ共感しようとしても難しくなってしまいます。そんなときは深呼吸をひとつ。
気持ちを整えてから話すだけで、コミュニケーションはぐっと優しくなります。まずは自分自身の状態に意識を向け、ちょっとだけでも自分をケアしてあげてくださいね。
ウェルビーイングなコミュニケーションは、“誰かのために頑張り過ぎる”ことではありません。相手と自分を大切にしながら、ゆっくりとあたたかい絆を育んでいくことです。
相手の見ている景色とあなたの持つ世界を大切にしていくことで日々の会話はあたたかくなり、あなたの暮らしも、まわりの人の暮らしも、少しずつ豊かになっていきます。このせわしない日々の中、落ち着かず周りに優しくなれないときは誰しもがあると思います。
少し自分の気持ちに目を向けて「忙しくしているから気持ちに余裕がなくなることもあるよね」と自身に共感してあげるところから始めてみてくださいね。
【編集後記】
コミュニケーションの悩みを解決する鍵はテクニックを磨くこと以上に相手の背景を想像する「共感」と自分自身をケアする「心の余裕」のバランスにあることがわかりました。
ウェルビーイングなコミュニケーションは、誰かのために頑張りすぎることではなく、まずは「自分も忙しくて余裕がなくなるときもある」と自分自身に共感してあげる一歩から始めてみたいと思いました。
田中 庸介(公認心理師•臨床心理士)
東証上場企業(障害福祉事業)にてマネジメント職、調査研究、社員教育、障害者雇用コンサルティングなどに従事。その後、イースト・ロンドン大学大学院でMAPPCP(応用ポジティブ心理学&コーチング心理学修士課程)修了。現在は教育・福祉・精神科医療などの領域でウェルビーイングを育むための研修/カウンセリング/コーチングを実践中。
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