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まなぶ

足に鉄球をつけて坂を上るような日々を41年生きてきた障がい者がそれでも遺したいもの

ご縁があって「たゆらかたうん」にコラムを連載させていただくことになった、「きむら」と申します。
最初の記事となりますので、月並みですが自己紹介から始めたいと思います。

私はADHDと聴覚障がいのある41歳男性で双極性障がいの診断もあります。我ながら「せめてどれか一つの障がいだけにしてくれよ…」とぼやきたくなりますね。

聴覚障がいの方は21歳の時に人工内耳という手術を受けて電話ができるほどには聴力が回復したのですが、人の声の質やうるさいところではかなり聞こえにくく聞き直しも多いです。
しかし、それ以上にADHDやメンタルの不安定さが生活や仕事をする上では足を引っ張るというか、常に足に鉄球付きの鎖をつけられていて、それで坂を上っている程度には恐ろしい。気が抜けたら坂を転げ落ちたり、たまに鬼がやってきて鉄球を下にぶん投げて自分ごと吹っ飛ばされるイメージをすることがあります。

日々、自分のままならぬメンタルと体調に振り回されながら、毎日をサバイバルしているような緊張感があります。まぁ、なんやかんやと奮闘し、この歳まで生きてきますとADHDへの対処がなんとなく分かってきたり、いろんな人とご縁ができたり、ASDと軽度知的障がいのある妻と出会って結婚したり、仕事も増えたりします。そういう経験が少しでも他の方の役に立てばうれしいかなぁ、というところでこの連載を担当させていただきたいと思います。


さて、「たゆらかたうん」は「こころでつながるまちづくり」をテーマにこころに障がいがある方に向けた情報誌ですが、ここでいう「まち」とは「たゆらかたうん」を発行している「NPO法人しろひげ・たゆらかファンド」の拠点がある江戸川区(城東区域)も想定しております。

私は江戸川区在住で、そのご縁で夫婦ともども「たゆらかたうん」を監修している「しろひげ在宅診療所」にお世話になり、いろいろ辛い時期に本当に助けていただきました。そのご縁でこのコラムを書いているのですが、人生はどこでどうご縁がつながるか本当に分からないものですね。

江戸川区は日本で最もひきこもり支援が進んでいる地方自治体であり、不登校のみならず成人したひきこもりの方への支援にも熱心に取り組んでいます。ひきこもりの背景にはさまざまな要因がありますが、やはり精神疾患や発達障がいが絡んでいることが珍しくありません。

その江戸川区でしろひげファミリーは医療・福祉だけではなく、現状の制度ではなかなか行政の支援が届きにくい層にもリーチしようとする取り組みを進めており、それを「居場所づくり」として展開しようとしています。


私も若いころにうつで休職し、とにかく酒に逃げて1年近く家にひきこもっていたことがあります。ひきこもっている間の「焦燥感はあるのに何もできない状態」というのは今思い出しても嫌になるくらい辛いものでした。幸い、今の妻や家族の支え、さまざまな支援に救われて、今こうしてコラムを書けているわけですが、これは「運」でしかなかったところも大きいと思います。

しかし、今、ひきこもり状態にある方やその周りで苦しんでいる方々が何かしらの助けがあるかどうかも「運があるかないか」でしたら、それはとても悲しいと感じますし、その支援の手を精一杯に伸ばそうとしている「しろひげ在宅診療所」や「しろひげ・たゆらかファンド」、そして江戸川区には心から感謝申し上げたいと思います。

余談となりますが、若いころは書くことで何かを成し遂げたい、と考えていましたが、今では書くことで何かを遺したい、と思うことが増えました。41歳にもなると人生の折り返しは多分過ぎているし、今から何者かになれる気もしない。

しかし、この紆余曲折の人生を描くことで何か人に与えられるものがあれば、それは自分の人生に意味があったとも感じることが出来ます。どうぞそんな想いにお付き合いいただければ幸いです。

といったところで、週1回のペースでコラムを更新していきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

(参考リンク)

きむら

きむら

聴覚障がいとADHDの特性を持つしろひげ在宅診療所スタッフ。山形県出身。ASDと軽度知的障がいのある妻と江戸川区で二人暮らし。ろう学校を卒業したあとさまざまな職を転々しつつ独自のADHDライフハックを研究している。くらげというペンネームでライター活動などを行っており著書に「ボクの彼女は発達障害」がある。

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