みなさん、こんにちは!心理士の田中です。春の芽吹きを感じて気持ちも新たになるこの季節、いかがお過ごしですか?私はこの好機を逃すまいと脳の活性化のために掛け算に凝り始めたところです。そこで今回はまずその成果を皆さんにお伝えしたいので、少しだけお付き合いください。
「7×1=7、7×2=14…7×7=49、7×8=56、7×9=67!」いかがでしょうか!7×9は「67」ではなく「63」では?と思いませんでしたか?(その通り!63が正解です)さて、次にもう1つ考えていただきたいことがあります。正解よりも不正解の方が気になりませんでしたか?これが前回のコラムで触れた“人はネガティブなことに対して目が向きやすい”ということです。また、掛け算に目を通しながら正解をポジティブなこととして、丁寧にひとつひとつを「うんうん」と認識された方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。実は日常ではポジティブなことが意外と多く起きているにも関わらず、人は良い出来事を時間と共にサッと流してしまう一方で、ネガティブなことに対してはしっかりと立ち止まって敏感に、そして長く反応してしまうものです。
このような癖は“ネガティビティバイアス”と呼ばれ、この傾向があるからこそ人はネガティブを無くすことに必死になります。みなさんも嫌なことだけが頭から離れず、不快な気持ちを長時間感じたことはありませんか?
このようなぐるぐる思考に苦しむのは自然なことなので、ネガティブに対処することは生きていくうえで欠かせないですよね。
しかし、このコラムで目指しているよりよく生きるを意味するウェルビーイングは「ネガティブが無いことではなく、ポジティブが在ること」であり、目指すは『ポジティブとネガティブの調和』です。これはネガティブを無視するということではなく、「ウェルビーイングに生きるためにはネガティブの荒波を上手に乗りこなしながら、ポジティブを生み出しキャッチする力を育むことが大切」という意味です。でも、どうやって?が気になるところですよね。
そこで今回はThree good things(3つ良いこと)を紹介します!
Three good thingsは日常のポジティブに意識を向けてキャッチするワークであり、“一口サイズ”と表現されるほど簡単に行えるものです。方法は「寝る前に今日あった良いことを3つ書き出す」だけ。こんなシンプルなワークですが、日々取り組むことで落ち込みや不安といったネガティブ軽減だけでなく、睡眠への良い影響や幸福度が増すなどポジティブな効果が報告されています。Three good thingsは感謝のワークともいわれ、人は感謝の思考がオンになっている時は不安や心配の思考がオフになるので、メンタルヘルス対策にもオススメです!
私もさまざまな場面でこの方法を紹介しますが、まず1週間毎日取り組んでいただくと「意外と日常の中で良いことが起きていると気がついた」「普段気がつかないことに気づけるようになった」「生活が彩られた」などポジティブな世界が日常に広がっていくような感想を多くいただきます。食事が美味しかった、目覚めがスッキリだった、リラックスする時間を作れた、家族・友人と楽しく話せた、7の段が8までできた!などなど。これらはきっとみなさんの日常で起きていることではないでしょうか。
このようにポジティブへと意識的に注意を向け、日々の中で起きている良いことをキャッチしていくワークがThree good thingsです。良かったことと言われるとハードルの高さを感じる方もいらっしゃると思いますが、“自分が良かったと思うことが良かったこと”としてカウントしてみてくださいね。きっと日常にポジティブな変化が訪れますよ。
さて、今日はどのような良いことがありましたか?
第1回のコラム記事は、こちらから https://tayuraka.com/column/

田中 庸介 (公認心理士、臨床心理士)
東証上場企業(障害福祉事業)にてマネジメント職、調査研究、社員教育、障害者雇用コンサルティングなどに従事。その後、イースト・ロンドン大学院でMAPPCP(応用ポジティブ心理学&コーチング心理学修士課程)修了。現在は教育・福祉・精神科医療などの領域でウェルビーイングを育むための研修/カウンセリング/コーチングを実践中。
HP:https://www.flourish.jp.net/
note: https://note.com/tempanda
Instagram:https://www.instagram.com/tanasuke_8/